しゆ

SKIN 短編のしゆのレビュー・感想・評価

SKIN 短編(2018年製作の映画)
4.3
アメリカ社会の縮図。およそ21分55秒の充足感じゃない。最後数分の瞬間火力は他の長編映画に引けを取らないインパクトだった。奥さんのすすり泣く声にもならない声が流れ続けるだけのクレジットがやりきれない気持ちを余計増幅させる。
黒人グループの報復の仕方も殴る蹴るじゃなくて絶対に消えない入れ墨を、しかもレイシストのジェフが何より嫌悪する黒人さながら全身に彫られた上、十分に喋れないように歯が2,3本しか残されてなかったところが徹底されてる。でもなんの落ち度もない黒人をリンチした彼に同情はしがたいし、したところでまた負の連鎖が繰り返されていくだけだろうな。引き出しにあった銃に装填する場面でこれはもう救いようがない結末にしかならないと想像できたけど、序盤で幼気な息子のトロイが簡単に取り回す銃社会への批判と伏線になってて、子どもがただ母親を危険に晒す人物を撃ったとしか考えていないような表情が印象的。親の教育や価値観が直接子どもの成長に影響する危険性もメッセージに込められてるかも。
カラフルなヘビの会話もこの肌の色の伏線になってるんだろうなと考えながら観るとまた考えさせられて無駄のない映画だった。アカデミー短編実写映画賞受賞をしたのも納得。
サブタイトルが短編ってなってて調べたら同監督の同名の2時間バージョンも配信されてるようなので続けて鑑賞する。
しゆ

しゆ