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SKIN 短編のyuiのレビュー・感想・評価

SKIN 短編(2018年製作の映画)
3.9
覚悟をもって鑑賞するべき作品。
強烈な恐怖と怒り、あまりの衝撃に、既に21分が経過したと気付くのに時間がかかった。

父親に銃の腕を褒められる少年。その父親は少年の目の前で、ある男性をリンチする。
道徳とはかけ離れ、言葉の通じない獣のような、野蛮な男たちに襲われる男性。
その凄惨な様子を見て怒り、「きっとこの父親は報復にあう。こんな惨い行いには報いが要る、そうでなければ到底許されない」と思った自分は、ラストまで見て考えが浅はかだったと気づいた。そんな単純なことをテーマにした作品ではない。

人が人を害するということの恐怖、それが当たり前の世界があるという絶望を、普段忘れている我々には耐え難いものがある。
もし加害者となり誰かを害した結果、害を被るのは暴力を受けた被害者本人だけではない。
もし復讐を受けたとして、害を被るのは加害者本人だけではない。
ここで言う害とは傷を受けることだけを指す言葉ではない。
ひとりがふるった暴力が周囲にもたらす影響力ははかり知れず、気付かぬうちに愛する者たちすらも蝕んでゆく。
この度、この短編が実話をもとに長編化され、公開される。
21分でこの衝撃、長編も目をそらさずに、震える感情に耐えて鑑賞できるだろうか…
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