あーさん

SKIN 短編のあーさんのレビュー・感想・評価

SKIN 短編(2018年製作の映画)
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ここしばらくタイムラインでよく流れていて、近日公開の長編の予告を見て気になったので少し前に鑑賞。

スマホでは全く画面が動かず、パソコンに切り替えたものの、やはり画面は数秒単位で動いたり止まったり。。
22分で短めとはいえ、倍以上の時間を要して、何ともストレスのかかる見方になってしまった。内容もハードだったので、観終えてから軽い疲労感。。

しかし、途中で止めることができないほど先が気になり、何とか観果したいと思うほど惹きつけられる内容だった。

奇しくも、最近白人警官によって黒人男性が殺害されるという事件があった。

差別とは何か?
人種による差別とは?

コミュニティ同士の諍い、縄張りについて考えさせられた。
例えば、ウエストサイド物語のジェット団とシャーク団の争い(ラストシーンのマリアのセリフが忘れられない…)、一昔前の暴力団の抗争、そして国と国との戦争。。

ナンセンス!!なのに、決して無くならない。

何故、人は群れるのか?

自分の所属する集団を大切に思うことは、自然なことだと思う。所属することで安心するのは、ごく普通の感覚だとも。
帰属することで、安定感が得られる。

一方で差別はいけない、という。

そうだと思うし、許しがたいことが起こっているのも事実だ。

しかし、ただ"いけない"というだけでは、解決しないのではないか?ということも感じている。

日本でアフリカ系の黒人を見かけることは、そこまでない。
けれど、アメリカ並みに人口の13%が黒人だったら?
アジア、ヨーロッパや南アメリカからの移民がもっと増えたら?多分、他人事ではなくなる。

何故、差別するのか?

よくわからないから。
怖いから。
自分達もギリギリだから、他を受け入れる余裕がないから。

下めに見ることで、安心しようとする。
区別することで、自分達のテリトリーに入って来ないようにする。

差別とは、いじめにも似ている。

実は、される方よりする方の心が弱いんじゃないかと思っている。

だから、無条件に"差別をやめて、仲良くしましょう!"ではなくて、お互いを知り、歴史を学び、それぞれの違いを認め合い、協力して生きていくことが大切だ、と教育でしっかり伝えていかなければならないのではないかな。

白人も黒人もなんら変わりなく家族間では思いやりあっているのに、外に出たら自分達のコミュニティでガッチリ固まって、他を排除する。
そういう大人たちを見て、子どももそういうものだと学ぶ。

あの過激な白人の集団は何?

それらの人々も、世の中からはみ出してしまった、いわゆる普通の家族や社会から吹きこぼれてしまった人達。

過激派組織ISの少年兵達と同じで、頭が柔らかいうちに、拐われたり拾われたりして、洗脳される。
(ここは長編の作品と設定が混じってしまったかもしれません。。正確には、今作ではそうでないかも?)話は少し飛んでしまうが、"灼熱の魂"の悲劇を思い出す。

家族という帰属集団に恵まれなかった、社会にうまく順応できなかった者達が、はみ出し者の集まりになって社会や弱者に復讐をする。

そんな図が見て取れてしまう。

悲しい。。

差別される悲しみ。
そして、する方を産み出してしまう悲しみ。

そんな負の連鎖を、どうやったら無くすことができるのか?

悲しい事件が起こるたびに、そうしようと思わなくても犯罪者を作り出してしまう社会の複雑さに、無力な自分を思い、気持ちが萎えてしまう。


どうしたらいいのかなんて、私達にも神様にもわからない。

人間、いや生き物の持つ、悲しい性。。


だからこそ、教育で少しずつでも世界を変えていくしかない。


少し前に観た別の動画の話(実話)。
黒人男性の死に憤り、過激なデモや暴動に走る若い黒人男性を年配の黒人男性が、
"それは違う、暴力では何も変わらない"と諫める。
そして、更に若い十代の黒人の子が参加しようとするのを止めて、
"この子はまだ十代なんだ、こんなことはやらせたくない。俺達みたいにさせたくないんだ。"と説得する。
それを聞いた真ん中の世代の黒人男性が、
"でも、祈るだけでは何も変わらない!"
と叫ぶ。

悲しくて、胸が張り裂けそうになった。

差別をなくすのが簡単じゃないということを理解するには、十分だった。。



観た後に、ズーンと重い気持ちになった。
あーさん

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