Joey

スキャンダルのJoeyのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
3.5
アメリカの主要なネットワークの殆どはリベラルであり、国家権力に立ち向かうという姿勢を装っている。民主国家として建国されたアメリカ合衆国でのメディアの立ち位置は、保守派が主流の日本とは大きく異なる。そんなアメリカに登場した保守派の代表がFOXである。

だからトランプを糾弾したメーガンは衝撃的だったけど、それもロジャーが仕組んだ演出だったのだろう。この後、メーガンはNBCに移籍し、人種差別発言で番組を降ろされる。何とも皮肉な展開。また、ケイラは架空の人物という事なので、ちょっと微妙な感じはする。この映画が大統領選挙への布石だとしたら、それには加担したくない。

ただ、世に蔓延るハラスメントに一石投じたのは間違いない。ハラスメントは相手の捉え方次第という無責任な物言いをよく耳にする。それは違う。自分のした事を自慢できるのか、同じ事を家族に出来るのか、同じ事を家族が受けても許せるのか、そんな自己の価値観が基準になる。他人次第ではない。自身の人格が試されている。

FOXの台頭と共にフェイクニュースという言葉も生まれている。トランプを大統領に仕立て上げたのは、間違いなくロジャーなのだろう。FOXにトランプ派が集うという図式が確立している。これをロジャーの功績と言えるのか、彼の子孫に自慢できる事なのかは、何十年か後に評価される。ただ、右も左も、白も黒も、女も男もなく、目の前にいる苦しんでいる人を助けられるのは、ロジャーやトランプではなく、寅さんやさくらのような人達なんだろうな、きっと。
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