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スキャンダルのMoviePANDAのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
3.6
『ピンヒール👠サーファー』

「君とはもっと前に肉体関係を結んでおくべきだった。そのほうが君にとっても私にとってもベストなことだったと思う。(性的なつながりを持っていたほうが)問題があっても簡単に解決した事だろう。」これはニコール・キッドマン演じるグレッチェンが、FOXニュースの創立者で元CEOのロジャー・エイルズから実際にかけられた言葉だそう。

嗚呼、虫唾が走る...

ジェイ・ローチ監督というとどうしても『ミート・ザ・ペアレンツ』と『オースティン・パワーズ』という二大代表シリーズが思い浮かぶところですが、近年のフィルモグラフィを見て分かる通り、実は政治ものも多く手掛けてます。手腕が認められてるからこそ、そのジャンルの仕事が多く舞い込むのだろうと思うのですが、今作も非常に手堅い作りで監督の腕が立っていると思います💪

さて、この『スキャンダル』。原題は『Bombshell』。今まで聞いた事無かった言葉なんですが、調べてみたらこの言葉が色々と面白い。見たままの通りBomb(爆弾)とShell(砲弾)が合体した言葉なんですが、文字通りの爆発物的意味合いは当然の事ながら、それ以外では悪い意味での「衝撃的事件」や「爆弾発言」、あと「センセーションを起こす人」なんて意味もあるそうです。だから、向こうのニュースの見出しなんかにちょくちょく使われる言葉らしいです。あと、実はもうひとつ意味があって、それがなんと「悩殺美女」👯💕 ちなみに“a blonde bombshell” ときたら意味は「ブロンド美人」だそうですよ💋➰💕

そんなまさに“Blonde bombshell‼️”な3人がまっすぐこちらを見つめるポスター👁️ もうこの眼力を感じただけで、何もやってないのに思わず白旗🏳️あげてしまいそうになりますが、このいかにも強そうに見える3人にはある共通の苦悩がありました。それはセクハラを受けたという最悪の共通項。しかもそれが会社の最高権力者である同一人物からというのだから、本当に許せない話です💢

セクハラに限らずありとあらゆるものにハラスメントがつくこの時代。中には「それはちょっと...」って無理くり感を感じるハラスメントの定義もありますが、この3人が受けたセクハラは本当に最悪。最高権力者がその立場を悪用した話には映画プロデューサーの某事件を思い出してしまいましたが、この事件もホント数年前の実話をもとにした話。

そんな最近の話を、関係者各位の許可を得るわけでもなく即映画化ってとこにいかにも“アメリカ”を感じますが、すぐにでも語る必要があると感じての事なのでしょう。ただし、映画にするからと言ってセクハラを受けた女性の単なる痛快逆転劇にはしていない。だから、そこに日曜21時池井戸潤的逆転劇を期待すると期待外れとなるかもしれません。あと、過去テレビドラマも手掛けていた監督だからか、映画としては少々物足りなさも... その代わり、この闘いがいかにデリケートで尚且つ簡単に決着する様なものではないという事を、三者それぞれの立場からの苦悩を通してしっかり丁寧に描いていたと思います。

当然この様なセクハラは根絶されてほしいし、明るみになって被害者側の望む様な解決に至ってほしいと心から願います。ただ、その「Me too」というものがどれだけのリスクを伴うのかという現実を見せつけられるという点で、女性の立場というのはまだまだ弱いし、本当に難しい問題なんだと考えさせられました。

でも、レジーナ・スペクターの「One Little Soldier」に乗せたエンドロールがホント最高にカッコよくて、これからの世における女性のさらなる飛躍と、「私達“そもそも”クールだから!」っていう宣言に感じられて、最後スクリーンにひれ伏しそうになりました🐼✨
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