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スキャンダルのspicaのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
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シンプルに雰囲気が凄く好きです。



休日にテニスをしようとも罵声を浴び、
自宅でリラックスをしようとも他人からの視線を浴びる。
とにかくこの作品には安らぎの場面が1秒たりとも無い。

これはセクハラを受けた被害者自身の人生をストレートに表してるなと感じた。

家族と過ごす時間さえも、
ひとりでリラックスをする時間さえも
姿無き敵が365日24時間ついて回る。

被害を受けた限り、
敵は加害者だけではないことを痛感した。

「あなたに落ち度があったのでは?」
「わたしに落ち度があったのだろうか?」
そんな社会からの視線や圧力や、自責の思いが彼女らを苦しめる。

たとえセクハラの加害者当人が消えようとも、
彼女らには姿無き敵との戦いが今後も続いていく。
この作品で描かれている話は、彼女らにとってはきっと序章に過ぎない。


観終わった時には身体も心も疲弊していた。
凄まじい権力に立ち向かう彼女らの勇敢な姿には魂を揺さぶられた。
しかしそれと同時に、この戦いは長い長い道のりであるという残酷な事実を突きつけられ、本当に吐きそうであった。
これが実話なんて。
そして世界各国でこのような事実があるのだろうと考えると、とてもじゃないが悲しさや虚しさを抱えきれない。

本当に、素晴らしい作品だと思います…。
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