なべ

ブルータル・ジャスティスのなべのレビュー・感想・評価

ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)
3.0
 なるほど、ドライでソリッドな語り口。ここからさらに編集して、ジャジーな劇伴をつけて、もっとタイトに仕上げますって初号試写を観たような気分。
 ストーリーはとても好きなんだけど、夢中になれない。ゾクゾクするシーンはあるものの、全体的に散漫で退屈。いちいちパーセンテージでコメントつけるクセもあざとくてクサイ。てか本作ってメル・ギブソン主演でいいんだよね? 群像劇ではないよね? 登場人物のディテールの描き分けの比率、おかしくね? 相棒(渋い存在感!)や黒人のチンピラ(こちらが主人公でもよかったかも)や産休明けの銀行員(端役なのにとっても魅力的なディテールを与えられてるw)など、主役以外の私生活を何から何まで描き込まなくていいから。そんなことしてるから、尺が伸びるんだよ。この内容で159分て。贅肉が多すぎる。ただ、午後ローなんかで枠に合わせてカットされたら、案外名作に化けるのかもしれない。それくらい画はいいのだ。
 しかし、問題は尺だけじゃないんだよな。リッジマンの役が何かと暴力的だったり、発言が差別主義者っぽかったり、現実のメル・ギブソンのゴシップに寄せてて、観ててノイズになること甚だしい。ラジー賞の「最低人命軽視と公共物破壊しまくり作品賞」ノミネートは言い過ぎだと思うけど、メル・ギブソンの役どころと演技はちとやりすぎだと思った。
 問題はまだある!なんだよこの邦題。問題の捜査官はふたりともただのヨゴレでちっとも野獣じゃないし、正義はまるで出てこない。むしろ逆。正義は全然関係ないから。関係ないからあぁー(勢い余って2回言いました)。こんな無意味なタイトルある? しかも邦題なのに英語て。ちなみに原題はDragged Across Concrete。コンクリートの上を引きずり回されてってところか。「地を這う者」くらいにしといてくれたらしっくりきたんだけどな。タイトルくらいちゃんとしようぜ!

 あ、劇伴は皆無なんだけど、カーステから流れるソウルサウンドがピカイチなのは褒めておきたい。オージェイズに似てるけどこんな曲聴いたことないぞと思ってエンドロールで確認したらやっぱりオージェイズやんかいさー!Street Corner なんちゃらもShotgun Safari(←これマジで最高!)も聴いたことなかった。彼らの曲は全部知ってるつもりだったんだけどなあ。サントラ買わなきゃ。
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