ぴあの試写会にて鑑賞。監督の前作がかなり好きだったので、期待値高め。
今回は「母」をテーマにした群像劇。種々雑多な女性たちがそれぞれ母となり抱える葛藤や、母とはなんだと問いかけての苦悶。母であっても誰かの娘であるということ。キャリアとの両立。そんなことをパリの街をキーワードに雑多にオムニバスに見せてくれた。
とても淡々としているけれど、画面の中で不器用に生きていくそれぞれの女性には、必ず自分を投影できる誰かがいる、そんな感覚になる映画だと思う。「母の日」を提唱した女性が商業主義にまみれていくこの日を後々残念に思った、という授業の中の話が印象的。さて、どうする?なに贈っておく?なんて会話で「母の日」を片付けてないか?自分。あなたもそうされる、と言われた気分。
誰しも母をやる時は一年生。いきなり実務がやってくる。逃げられない。人と比べても仕方ないし、自分はただ、目の前の大波を1つずつ乗り越えていくように生きていかなくちゃ。だからこそ、そのごつごつとした不器用さも含めて母は尊いし、誰しも心にいつも母がいるんだよね。
私はあまり投影できる対象が見つけられなかったけれど、三姉妹とママのランチのシーンには考えさせられるものがあった。あと、タイトル。これ、原題は「fete des mere」だから、そのとおり「母の日」として、サブタイトルを引っ張ればよかったのでは?と思ったり。