minorufuku

浅田家!のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

浅田家!(2020年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

主人公は自身の家族を被写体に様々な架空のシチュエーション写真を撮り続け、やがてプロ写真家として脚光をあびる。他人の家族写真を撮る活動を始め好評を得る主人公だったが、その矢先東日本大震災が発生する。かつて写真を撮らせてもらった家族を探しに東北を訪れた主人公はその地で瓦礫から発見した写真を洗浄して持ち主に返すボランティアの青年と出会い彼を手伝うことになるのだが.....僕がほとんど全作品観ている中野量太監督の最新作。

実話ベースの話なのだが、家族ものには定評のある中野監督には非常にマッチした題材で、とにかくテンポが良くてみやすい。主人公たちの関西ノリのコミカルなやり取りが楽しい映画だった。
写真家がニート期を経て家族写真という彼自身のアイデンティティであるテーマでプロとして認められる流れがスムーズ。そして、作中で彼が撮る写真の数々がとても魅力的だった。震災を扱った後半部分も笑いとあたたかい感動で包まれていて、地震で大切な人を失った現地の人々と主人公との写真を通したふれあいが上手く描かれていた。
反面、中野監督の作品の中では一番「普通」な話だと感じた。これまでの作品で見られた奇抜な伏線回収と不謹慎なのに感動に繋げるエピソードはやや少なく、物足りなかった。ただ、全作品で含まれてる監督の変態的嗜好を感じさせるシーンは一応存在したので安心した。

エンドロールで全部の家族写真が見られるのも満足度高い。
minorufuku

minorufuku