さおりーち

ラストナイト・イン・ソーホーのさおりーちのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ベイビードライバーの監督の新作と聞けば
外すわけないと思って前情報ゼロで鑑賞。
持ち前の音楽センスが全編爆発していると共に
今回はホラー・サイケ表現と、60年代アメリカのレトロ表現のバランス力がハナマルで
「なんでこんなイケてない絵を見せられるの」って瞬間がただの1度もなく
終始美しく恐ろしくハラハラうっとりして
最&高でございました。

虚実織りまぜ系は一番大好きなジャンルなのですが
「あのシーンはどっち」ってなりがちなものの
今作はきちんと分かりやすくオチをつけてくれる親切設計。

途中までは作中唯一の「被害者」として描かれるジョンの行く末が
幸せになってよってめちゃくちゃ追いかけちゃってたんだけど
実は映ってる男全員被害者といえば被害者、
女も男も街に飲まれ、街として他者を飲み込む図太い都会の男女として描かれ、
勧善懲悪におさめないところも非常に好印象。

ただ最後のファッションショーの、ピンクのドレスの銀のエリだけが
悪夢的にダサくて
「え、またこれ夢オチになってない?大丈夫?」とそわそわしたけど
そう言えばエリーは1度も自分が主役の夢を見ていないので
エリーが主役なら現実なのよね、よかったよかった。

サンディがまるでバービーのように
完璧な女の子で
画面の端にチラと映るだけで美しくて
そんな絵を作れる女優もスタッフも監督にも
拍手喝采したい気持ち。

冒頭の雑誌で作ったドレスもカタチが素晴らしかったね。
大満足。
たまに部屋に流しておきたい映画。

この監督の映画って
BGM代わりに流したくなるような心地良さが常に流れてて
それはミュージックビデオ的なものではなくてちゃんと映画なんだけど
そのつなぎがまた心地よくて、センスの塊なんだろうな。
話としてはいずれも全然突飛じゃなくて
むしろオールディなのに
それを現在の感覚で焼き直して出してくれる
信頼出来るレストランのナポリタンみたいな。
次もその次も、絶対見るだろうなぁ。
さおりーち

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