ロンドンのソーホーにあるデザイン専門学校に入学したエロイーズが下宿先のアパートで夜眠るたびに、60年代のソーホーで歌手を夢見ていたサンディの記憶を追体験するようになり、それをきっかけにして悪夢と幻覚に徐々に現実が侵食されていく物語。
煌びやかなファッションや女性の尊厳に関するテーマなど、『プロミシング・ヤングウーマン』との共通点を色々と感じながらも、こちらはホラーとミステリー要素が強く（といってもほとんど怖くないですが）、終盤には「あーなるほど、そういうことだったのか」とすべて繋がってスッキリする感じも味わえるので、テイストや余韻はかなり異なっていると言えます。
地方から出てきたエロイーズが都会に適応することの難しさも描かれていて、そんな中で心配し続けて味方でいてくれる人が1人でも存在することの重要性が、孤独で誰も助けてくれなかったサンディと対比的に描かれており、そういった意味でも鏡合わせの2人と言えるのかもしれません。
また、60年代当時の空気感や映像面での演出が素晴らしく、視覚的になかなか惹き込まれる作品でした。
