みーちゃん

アザーズのみーちゃんのレビュー・感想・評価

アザーズ(2001年製作の映画)
4.1
紫外線アレルギー、ポストモーテム・フォトグラフィー、戦争未亡人など。物語に絡む要素の全てが胸に刻まれる。その刻まれ方が、とても良い。鑑賞後もずっと心に残る。行間の表現力が豊か。


◇ここから本編に触れます◇


三つの時代、三組の親子が交錯する構造が耽美。それらを包み込む広大なお屋敷のロケーションと歴史的な背景に説得力がある。プロダクションデザインも素晴らしい。

私が特筆すべき点だと思うのは、終盤"侵入者"たちと対峙するシーン。描き方によっては、ここで興醒めする。
その後のラストシーンをどうするかも、かなり難しいはず。描き方によっては、ここで更に興醒めして駄作になる。でも、これらの描写が見事だった。主観も客観も、理性も感情も、全てのバランスがちょうど良い。

そして、ただ美しく哀しい御伽噺で終わらせたくないという気持ちになる。共感とも納得とも擁護とも違い、彼らに起きたこと、彼らの存在を、自分事として深く理解することができる。レビューを書きながら、ますます良作だと思った。