にしやん

エリカ38のにしやんのレビュー・感想・評価

エリカ38(2018年製作の映画)
3.0
実年齢を20歳以上詐称し、実態のない支援事業で何十億もの大金を不当に集めた挙句、2017年に投資詐欺容疑でタイで逮捕された、別名「つなぎ融資の女王」こと山辺節子をモデルにした実録犯罪映画や。被害額は20億という説から何と100憶円以上という説もあるらしいわ。それにしてもごっつい金額やな。でも、果たして皆そないに騙さるもんやろか?実際にどんな手口やったんやろと思て調べてみたら、「元本保証でその上、10ヶ月で約2倍」っちゅう話をしとったらしいわ。お前等アホか!するんもアホ。されるんもアホ。ある訳ないやろが!もしこの話がほんまやったら騙されるほうも相当アホか、金が有り余ってんのか、逆にお金にごっつ困ってるかどれかやな。こんなアホな話に引っかかるほうもアンポンタンや。正直豆腐に頭ぶつけて○ね級やで。
この作品、昨年亡くならはった「樹木希林」の最初で最後の持ち込み企画らしいわ。1970年代の前半に大ヒットしたテレビドラマ「時間ですよ」での共演以来公私ともに長年の付き合いをしとった浅田美代子の代表作品をぜひ作ってあげたいっちゅうんが企画の理由らしいわ。なかなかええ話やんか。本人も主人公の母親役で出演してて、相変わらずっちゅうか、最後の最後までちゅうんか、ええ芝居してはったけどな。
映画の中身のほうやけど、前半、水商売をしながらいかがわしい健康食品ビジネスをしてた主人公が、ひょんなことからこれまた怪しい年配の婦人に見込まれ、途上国支援事業を行う平澤っちゅう男からから金集めを任されるねん。元々胡散臭い主人公の浅田と、途上国の支援事業をしているとか言うてる、主人公に輪を掛けて胡散臭い平澤こと平岳大の演技がたまらんな。映画でいっちゃんおもろかったんは前半のこのあたりやろな。平の「防衛省がどうのこう」とか「ペンタゴンがどうのこうの」とか、全く何言うてるんか訳わからん話とか、冷静に聞いてたらなんか笑けてきてしもたわ。この俳優さんもエエ芝居してるな。お父さんの平幹二朗そっくりやな。ひょっとしたらお父さんよりうまいかもな。今回の詐欺師もうまいし、ビジネスマンでも、戦国武将でも、テロリストでもなんでもやれるな。このキャスティングええで。
平岳大が出て来うへんようになったかどうかしらんけど、後半はちょっと失速やったわ。タイに行ってしまてからはなんかグダグダになってしもて、正直もうどうでもええっちゅう感じやったな。
主人公の思春期時代のエピソードも多少挟み込まれとったけど、内面についての掘り下げは全く不十分、なんでこんな犯罪やったんかの描写も今ひとつ煮え切らんまま映画は終了や。ところがどっこい、なんかモヤモヤすんなと思た直後のエンドロール。このエンドのロールの演出が良かったわ。これがあるんとないんとではえらい違いや。わし、これがあったんで、ちょっとはスッキリしたかな。騙した奴は当然クズやけど、騙された奴らもはっきり言うてアカンわ。人間、どいつもこいつも煩悩の塊や。ほんましゃあないな。
そんな山辺節子の7年の刑期を終えた後の夢は、愛人やったタイ人男性をタイには入国でけへんさかい、ラオスに呼んで一緒に暮らしたいのが出所後の夢らしいわ。金無いのに来るんかいな?その時、このタイ人まだ30代で、本人は70歳やで。無いな。
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