けんぼー

モービウスのけんぼーのレビュー・感想・評価

モービウス(2022年製作の映画)
3.5
今となっては既視感たっぷりのヒーローオリジン。公開タイミングがズレてしまい、期待値が上がりすぎた結果、ハードルを超えることはできなかった凡作。

そりゃ期待しちゃうよねえ。。。
思い返してみれば元々は『スパイダーマン:ノーウェイホーム』よりも公開日が早かった本作。そのため、本作の予告で初めて「マルチバース」を匂わせる映像(壁に描かれたスパイダーマン、バルチャーの登場)が出てきた時は私を含め、ファンは狂喜乱舞したことと思います。

しかし、コロナ化の影響で『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』や『スパイダーマン:ノーウェイホーム』が先に公開。
特にスパイダーマンでは映画史に残る衝撃サプライズが起きたわけで、その後で公開となった本作。
そんな流れもあって、ファンは期待しかしてなかった訳ですが、完全に公開順のミスとしか言いようがない、ちょっと残念な結果になりました。

というのも、本作『モービウス』は「マルチバースの期待感」が作品の魅力の大半を占めるような仕上がりになっていたからです。

ではなぜ「マルチバースの期待感」以外の魅力が少なかったのかというと、
まず、物語の「既視感」が強い。

「モービウス」というキャラクターが実写映画化するのは初めてのことなので、彼のオリジンを描くのはまあしょうがないことではあるのですが、既にMCU作品などを多く見てきた現代の観客にとっては、「主人公が特殊能力を得て、段々と能力が覚醒し、ライバルと戦う」というような流れは散々見てきた訳です。
それなのに、本作はその既視感たっぷりの流れをほとんどそのまま、特に目新しい設定や展開もないまま描いています。
それでも、例えば「モービウス」の持つ、「ダークヒーロー」としての側面が楽しめれば良かったのですが、それすら私たちは『ヴェノム』で既に見てきてしまっているという。しかも「ヴェノム」は原作コミックにもなかった「バディもの」としての面白さを取り入れた魅力のある作品であるため、なんか見たことあるし、その上『ヴェノム』の方が正直面白いわけで。『ヴェノム』に似てるけど、『ヴェノム』の方が面白いなあ、ってなっちゃう。

その時点で、私の中では「マルチバースの期待感」くらいしかモチベーションを高くする要因がなくなってしまいました。

しかししかし、その「マルチバース」要素もそんなに多くない、というか最後に少し、ほんの少し出てくるくらいなので、「マルチバースの期待」すらも満たしてもらえない結果になるという。。。

正直言って面白かったとは言えないしSPUMCは今後も続いていきますが、別に本作を見なくてもあんま変わらないというか、必要性が薄い。
単なる「モービウス」という新キャラの紹介映画になってしまったという印象です。

まあ、主演のジャレッド・レトの存在感、魅力は堪能できると思いますが、個人的にはあんまりお勧めはできない作品です。

せめて『モービウス』→『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』→『スパイダーマン:ノーウェイホーム』という、当初計画されていた公開順で見ることができていたら、本作の評価もまた違うものになったと思いますが。。。

2022/4/2鑑賞