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アーミー・オブ・ザ・デッドのblacknessfallのレビュー・感想・評価

3.7
ザック・スナイダーの復活作、そしてゾンビ映画となれば観るよな、当然。

思えばザック・スナイダーは『ゾンビ』のリメイク『ドーン・オブ・ザ・デッド』で注目されたわけだし、本人のコメントとかチェックしてないから分からないけど、原点回帰する意図があったんじゃないかと思うな。
DCEU(D.C エクステンデッド・ユニバース)をノーランとのタッグで任され作った映画がことごとく当たらず、逆ギレして「こっちは格調高い神話であっちは安い民話だから物がちげぇんだよ」とマーベルをディスり「こいつ、大丈夫かよ?」と思ってたら、娘さんが自殺、そのことで心に大ダメージを受け(当たり前だよな)『ジャスティス・リーグ』降板して以来の監督作だから、1からリセットしたい思いが強い故のゾンビだと思う。

『ドーン・オブ・ザ・デッド』ほどではないけどこれも良くできたゾンビ映画だった。
ゾンビを隔離し封鎖したラスベガスから置き去りにされた大金を運び出す依頼を受けた元軍人スコットが、昔の仲間や凄腕をスカウトしチームでミッションに挑むゾンビアクション映画。

『バイオハザード』シリーズのようなハイスパートでソリッドな演出でスリルを高め、観る側の心拍数を上げにかかるアクションシーンは興奮する。
出てくるゾンビは基本『28日後』以降、珍しくなくなった元気に素早く動ける身体能力高い系、それだけじゃなくてゾンビ達は組織化されていて、 ゾンビの王様と王妃を頂点にした王国になっている。王様ゾンビは乗馬🐎もする笑
ゾンビがこれだけ文明化してるのは『高慢と偏見とゾンビ』とこれだけだと思う、他にもあるのかも知れないけど、珍しいよね笑
今だに原理主義的なこと言ってゾンビ通ぶりたい人が「早く動くのゾンビじゃない」とか「組織化したり道具を使うのはダメ」と言うけど、おもしろければいいじゃんかよ!それに『ナイトメアシティ』(1980年)の昔からゾンビは元気に走ってるし、車運転して銃まで撃ってんだよ笑

珍しいと言えば、虎のゾンビも出てくる🐯 動物ゾンビ好きとしてはこれも嬉しい笑
動物も何気に色々ゾンビになってるけど虎ゾンビは初めてなんじゃないかな?『新感染 ファイナル・エクスプレス』の鹿🦌ゾンビ、『ミート・オブ・ザ・デッド』の牛🐮ゾンビと並ぶインパクトと好感度だった、自分の動物ゾンビランキングで笑

これらの魅力的なゾンビとこれまた魅力的な元軍人スコットとその仲間達のアクションバトルはハイレベルなかっこよさ。『300』でも炸裂したグラフィック・ノベル的な外連味のある構図が随所に出てくる。
そしてゴア描写も露悪的なエクスリームさはないけど、首切断に内臓掴み取り、四肢食いちぎりを適量の血飛沫と肉片でいい案配に画いてる。

00年代以降のゾンビとアクションの質をしっかり担保しつつ、ザック・スナイダーにしかできない刻印をいくつも刻みこんだ復活作に相応しい作品だと思う。

刻印と言えば主人公スコットと娘の関係性にけっこうな時間が割かれている。
嫌われ続けている理由をスコットが娘に問い質すと、「自分を長い間放っておいたでしょう、それで嫌い」になったと娘は答える。
ザック・スナイダーが娘の死について自問自答してるように感じた。
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