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殺し屋のHKのレビュー・感想・評価

殺し屋(1956年製作の映画)
3.0
ヘミングウェイの同名の短編小説を、アンドレイ・タルコフスキーが映画学校時代に自主制作した短編です。
この原作はロバート・シオドマク監督の『殺人者』と、ドン・シーゲル監督の『殺人者たち』と2度も長編映画化されていますが、実は10分ほどで読み終わってしまう短編。
上記の2本は、どちらもその原作を1時間半以上の長編映画に膨らませた作品で、それぞれになかなかの見応えでしたが、本作は何も足さず引かず、ほぼ原作に忠実に撮った20分弱の作品。

田舎町の小さな食堂に、ある男を殺しに2人組の殺し屋がやってくる話です。
脚本も監督もタルコスキーだけではなく学生仲間と共同、ついでに登場人物もみんな学生でスタッフもキャストも兼任。タルコフスキー本人も出ています。

殺し屋役の2人も学生なので、お肌スベスベで若く可愛らしい顔なのがご愛敬。
シーゲル版のリー・マーヴィンに対抗するのは無理だとしても、もう少しイカツイ顔はいなかったのか。学生の自主製作映画事情はどこも似たようなものなのかも。
ただし、さすが映画学校。セットや映像はなかなか凝ってました。

本作はフィル友のbennoさん情報でYouTubeで鑑賞。
ロシア語音声に英語字幕でしたが、直前に原作(もちろん日本語)を読んでたおかげでなんとかなりました。bennoさん、ありがとうございました。

ところで、舞台となる食堂にはニック・アダムスという役名の先客がいます。
シオドマク版でも同じ名の客がいましたが、どこかで聞いたような・・・
と思った後で東宝特撮の『フランケンシュタイン対バラゴン』と『怪獣大戦争』に出ていた外人俳優と同じ名前だと気づきましたが、やはり別人。
このニック・アダムスはヘミングウェイの短編作品に多く登場する主人公で、作者の分身とも言えるキャラなんだそうです。

シーゲル版をまた観たくなったのでDiscを探したけれども見つからず。
CS録画を焼いてたはずなのに。さすが管理が杜撰なB型・・・
HK

HK