のふた

燃えよスーリヤ!!ののふたのネタバレレビュー・内容・結末

燃えよスーリヤ!!(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

なんでこんなに散々言われとんや、と思ったけどインドでもコケたんだった。悲しい。自分にはめちゃくちゃ面白かったし大好きなので満点にしてレビュー書いとこ。


話がよう分からんて声が多いけど、半分がファンタジーぽくて半分がかなりシリアスだから混乱するのは分かる気がします。テンポが独特すぎて苦手な人は苦手なんだろうなってのもこれまた分かる。登場人物も変人しかいないし…私はめっちゃツボでしたが。温度感が好みすぎてずっと観てたかった。スケールが大きすぎないのも安心しますね。
これ何の話だよってのは、普通に復讐と初恋と自立の話ですよ!アクションについてはジャッキーチェンへの大まかなオマージュしか分かりませんでしたが、ロマンス部分の斬新さすごくないですか?私には恋人とか全くいないので2人が気持ちを通わすシーンは理解できてませんが、スプリは唐突に自分で誘って終わったら軽やかにアフターピル買いに行くし、自由すぎる。こういうヒロインめちゃくちゃ好きです。インドでさえ今どき婚前交渉なんてホニャホニャとか言うやつお呼びじゃないんだなぁ。

当然復讐についての話でもあります。これ観た人の大半が気付いてないのが本当に不思議ですが、冒頭のスーリヤの母親を殺した引ったくりと警備保障会社のジミーは同一人物ですよ。引ったくりはジミーと呼ばれてるし、その時にスーリヤの母親に引っかかれた傷跡がジミーにあります。まぁ傷跡は普通一回観ただけでは分からないけど。
そしてスーリヤは幼い頃から“(母を殺した)金のチェーン泥棒”を許さないという姿勢を貫いてます。スプリの母親の金のネックレスを奪ったDV父親も、マニ師匠のロケットを金のチェーンに付け替えて首にかけてるジミーもスーリヤにとっては同じ悪党で、もしここで見て見ぬふりをすれば、それは母を殺した引ったくりを見逃した父と祖父(警察もか?)と同じだと思ってるんでしょう。そう考えればスーリヤの“金のチェーン泥棒”を捕まえるぞ!絶対に!という強い意志が、マニ師匠のロケットを取り返す動機なのは理解できるはずです。これで結果的に母親の復讐も出来てる。ここのジミーと冒頭の引ったくりの関連は観客にしか分かりませんが、これはインド映画によくある“神の御業”って事でしょう。良い話ですね。

ラストの温度感もこれまた大好きです。偉そうな金持ち男を捨てて自分で仕事を探すスプリの自立も嬉しいけど、特にスーリヤ。無痛症ゆえ命の危機も他人の痛みも分からないから色々巻き込んでものすごく危険な目に遭ったのに、全く懲りてる様子がない。ていうか多分一生理解しない!それが良い。12年も軟禁生活を送った上に無痛症で世間からズレまくってるスーリヤが、本編通しても最後までズレた変な奴のままってのが自分にはものすごく眩しく映りました。会計士になろうが絶対また似たような事するだろなという確信できるあの態度よ。変わらなくても、マトモにならなくてもいいんだな…て。自分もこんな風になんも気にせず生きていこ!と明るい気持ちにさせられましたね。
あと良い意味で意外すぎたのがマニ師匠。豚箱入っちゃうんだ。しかもニッコニコやん。伝説になれたらなんでもいいのか?ネジの飛び具合は兄弟でそんな変わらんのやろなと思いました。ジミーとマニ師匠のスピンオフ欲しい。
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