雨丘もびり

シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢の雨丘もびりのレビュー・感想・評価

4.5
郵便配達しながら、道端の石や貝
を拾って、川で洗って積み上げて、
セメントで固めて、30余年かけて
"宮殿"をコシラエあげちゃった、
シュヴァルさんの実話。
階段の一段、柱の一本、壁の模様
の一つひとつ、見よう見まねで、
ひとりで手作業で造ったなんて。
・・・・・絶句ッ。

ジャケ写の宮殿が「見て!褒めて!
スゴいだろ!!!」と熱烈に訴え
てくるのを感じてた。
この映画を見て、シュヴァルさんの
周りには、見せたかった人、見せた
ら喜んでくれた人が、ずっと居たと
わかって、なんか涙が出たよ。

吹きすさぶ風の音にひりひりする。
この風、この雪にさらされながら、
建造を止めなかったシュヴァルさん。
まぶしい夏、花が咲き誇り、鳥が歌
う作業現場。あったかい。
劇場で観たかったな。

ご家族の様子は断片的に映るので、
行間を読む必要があるけど、

子「宮殿の写真を、絵葉書にして売るのはどう?」
父「..........」
子「宮殿が世界中に知れる」
父「..........」
子「父さん...どう思う?」
父「....タマネギの残りは?」
子「?」
母「お父さん、喜んでるワ」

わからーん!!!!ぜんッぜんわからん(大笑)
シュヴァルさんのことぜんぶわかる奥様の尊さよwww。


他人の心情を汲み取れない様子や
単純動作に執心する様子から、こ
の映画ではシュヴァルさんをASD
持ちっぽく描いているみたい。
実際そうだったのかはわからない
けど、宮殿のあちこちに刻まれた
散文から、本当は言いたいことが
たくさんあった人なのかな?って
思うと切なくなった。

"田舎者が見よう見まねで建築やっ
てることを嗤われた"そうだけど、
そういうムゴいシーンは無かった。


エピローグで映る、こわばって不
自由になった両手。
針金を手で曲げて、コンクリート
の像の芯を造っていたシーンを思
い出して堪らなかった。


「思い出してごらん やりたいということは 出来るということを」

石ひとつ拾ったら、始まっちゃう。
始まっちゃったら、続けちゃう。
続けちゃったら、出来ちゃうのね。

シュヴァルさんに、励まされた(^..^)。
ありがとね。