chocolate

シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢のchocolateのレビュー・感想・評価

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まごうことなき素晴らしい作品。

絵画を観ているようなフランスの自然と、流れてくる音楽が相まって独特の雰囲気が醸し出されている。
そしてそれがなんとも落ち着く映画だった。

感情表現が苦手で人とうまく関係を築けず、孤独だった主人公。
周囲からは変人扱いされていたが、彼の内にある本当の優しさに気付く妻と結婚、娘のアリスをもうける。

そして、愛する娘のために、生涯をかけて世界にたった一つの『宮殿』を建てる…。


建築技術も学んだことはないのに、ただ『風や木々、鳥たち』という自然からアイデアを見出す様や周りが見えなくなるほど没頭するところは、いわゆる歴史に残る様々な『天才』達と共通する部分があるんだろうな…。

好きなシーンはまだ赤ちゃんのアリスを不慣れながらもあやすところ。
それを温かい目で見守る妻や周囲の方々の描写が好き。

そして不器用で言葉足らずな主人公が、最期に妻に言葉で愛情表現をするところ。
思えばここで1番長く主人公が話したシーンなのではないか、と思った。

愛情も宮殿も、長い年月をかけた不器用で素敵な主人公の物語だった。
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