あぶを

シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢のあぶをのレビュー・感想・評価

3.7
人は歩みを止めたときに死ぬのかもしれない。

地球何周分(不確か)かの距離を歩いて郵便配達をするコミュ症のおじさんが手先が器用なだけで建築知識が何もない中で宮殿を創り上げた実話を基にした映画。

この頑固なおじさんはほとんど話さないし笑わないけども、好きなものは好きで一直線。昼間は働き帰り道に石を拾い、夜間に建築作業をする生活。

映画では娘のためとあるが、それは多分演出でその真相は定かではない。

車もない時代に、歩き続けて石を拾い黙々と創り上げる姿は当時だと余計に異様な光景だったとおもう。

それでもおじさんは、足を踏み入れたことのない他国の遺跡を参考に見よう見まねでオリジナルの宮殿を33年、9万3000時間をかけて創建。後に、世界で唯一の素朴派の建築物として歴史的記念物に指定される。


死ぬまでには一回観てみたい宮殿。

好きこそ物の手なれとは言ったもんだが
好きなものがある、好きな人がいるとか
好きという気持ちにはとてつもない強さが込められてると思います。

好き。という気持ちだけで、
人は前を向き、頑張る事ができる。

このおじさんをひたすら観ていたら再度それを感じる事ができた。

それにこの時代にしては、だいぶ長生きしているので、やっぱり、人は歩き続ける事が健康への一番近道だと思います。

身体的にも、精神的にも、
人は歩み続けることが生きるということなのだろう。

つまりは、僕は既に死んでいます。
おじさん、ありがとう。
あぶを

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