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ニノチカのkaomatsuのレビュー・感想・評価

ニノチカ(1939年製作の映画)
4.0
映画史において早期にツンデレ・ヒロイン像を確立した、グレタ・ガルボのチャーミングな魅力あふれる、エルンスト・ルビッチ監督の代表的傑作。“お堅い社会主義”に皮肉を込めつつ、お洒落に笑い飛ばすその作風は、ルビッチならではのウィット感溢れる美しさに満ち溢れている。

ある調査に乗り出す羽目になった、プレイボーイ風のフランス人男性・レオン(資本主義)と、グレタ・ガルボ扮するカチンコチンにお堅い旧ソ連人女性・ニノチカ(社会主義)の、噛み合わない二人のセリフがいちいちツボ。

レオン…「ニノチカ、僕のことを好きかい?」
ニノチカ…(無表情で)「容姿は悪くはない。白眼は澄んでいるし、角膜も正常」
レオン…「君の角膜も素敵だ」

最高。こんなふうに、中盤まではひたすらおかしなセリフの応酬。名匠・小津安二郎やビリー・ワイルダーに多大な影響を与えた、エルンスト・ルビッチ監督のきわめて洗練された演出の妙。その精神は、三谷幸喜氏によって、日本の演劇界にも着実に受け継がれている(ちょっと違う?)。
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