KnightsofOdessa

ニノチカのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ニノチカ(1939年製作の映画)
4.0
No.133[同志ニノチカのフランス体験記] 80点

酔っ払って目隠しされたガルボ姐さんがシャンパンを開ける音に反応して寄りかかっていた壁からずり落ちる。このシーンだけ何百回でもみたいくらい気に入った。そして、ニヤニヤするガルボ姐さんの頭にティアラを乗せると、短い演説の後眠り始め、レオンは部屋を後にする。

ガルボ姐さんのファンとして二回目のお墓参りを昨年済ませた私であるが、どうも彼女の出演作品を確認するのは怖いので手を出しては引っ込めるを繰り返してこんな年齢になってしまった。本作品は36歳で引退する直前の作品であり、ソ連を使って盛大に遊びまくったルビッチ後期の傑作である。ソ連の"遅れた"文化からフランスの"洗練された"文化に順応していく三人の担当者についてタバコ販売嬢やシルクハットで示す冒頭、女が一方的にデレるわけでなく男女が着実に歩み寄る中盤、そしてベラ・ルゴシが登場する終盤。ツン→デレの流れが丁寧で感心してしまった。流石ルビッチ先生っすね。

ただ、ガルボ姐さんが個性的過ぎるのに対してレオンの個性があんまり感じられないのが悔しいところ。ちょっと古めのギャグがどうもジェームズ・スチュアートに重なるのは私だけだろうか。

公開時のコピーは"ガルボ、笑う!"だったらしいが、3年前の「椿姫」でもガンガン笑ってた。今回の笑いは不自然なのでなんとも微妙な感じ。というかなんでソ連ばかにされて胸がざわざわすんだろう。不思議でならない。
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