じぇれ

超擬態人間のじぇれのレビュー・感想・評価

超擬態人間(2018年製作の映画)
4.4
【おバカなフリして斜め上に突き進むクレバーな社会派スラッシャー】

父子は森の中で目覚めた。なぜ?
一家は森の中で襲われた。なぜ?
謎を謎で上塗りして加速する、恐怖と狂気のスラッシャーミステリー見参!

2017年にインディーズ映画界を震撼させた『狂覗』の藤井秀剛監督最新作。
教室を舞台に崩壊する学校教育にメスを入れた前作同様、本作にも現代日本への警鐘が忍ばせてあります。
同時に、とてつもないパワーで押しまくるアメリカンホラー的恐怖に満ちていて、80分間圧倒されっぱなし!
トリッキーな話法で観客を裏切り続けるプロットも見事で、一見すると意味不明なのですが、随所に散りばめられた暗喩の意味に気付くと、実は驚くほど端正な脚本であると感じることでしょう。

藤井秀剛監督は『マーターズ』のパスカル・ロジェ監督に似た資質のクリエイターだと再認識しました。

また、今回もキャストがスタッフを兼ねていて、その熱がスクリーンを通じて伝わってきます。
超低予算映画ですが、熱とパワーは超一級品。
ゴールデンウィークに震えてください!

※本作は『狂覗』主演杉山樹志さんの遺作。難しい役どころを大胆かつ繊細に演じていて、改めて才能の喪失に胸を痛めました。でも、スクリーンでまた会えて嬉しかった!

※これ、シリーズ化してほしいなぁ。
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