抹茶マラカス

ブラックシープの抹茶マラカスのレビュー・感想・評価

ブラックシープ(2018年製作の映画)
4.2
 第91回アカデミー短編ドキュメンタリー部門ノミネート。
同年代の黒人少年が殺害されたことでロンドンから引っ越した先が黒人差別の蔓延する街だったという地獄。少年コーネリウスは圧倒的な強さを持つ父へ弱さを見せられないと、差別と闘うのではなく、自らを白人化して同化を図る。そして自分の安全の為に眼前の同胞への差別には沈黙する。
 大人になったコーネリウスの語りと、それを再現する映像の切り替えが続く。現在の彼の姿は白人化した当時のものとは異なっているから、何かしらの瞬間が訪れたのは間違いないが、それにしたって白人と同化して不良化していく彼を責めることはできない。そうしなければ彼は「黒い羊」=除け者から抜け出せなかったはず。