まず、人の命が理不尽に失われるので、グロい描写が苦手、身近な人の死にトラウマがある方は見ない方が良いと思います。
いわゆるホラーやスプラッターではなく、監督いわく恋愛映画であるそうですが、これまでに観た作品では体験したことのない種類の恐怖を植え付けられました。例えるなら、黒板を爪で引っ掻く音の様な不快感を覚えました。胸糞悪い展開を次々に見せられるので、これに耐えられて、楽しめる人には非常に良い作品だと思いました。
集落の美しいセットとおぞましい儀式のギャップ、平衡感覚を奪う様なカメラワークやCGが脳を揺さぶる映像体験を演出しています。また、状況にそぐわない牧歌的な音楽、不協和音とミュートが効果的に用いられていて、聴覚からも不快感を煽ってきます。
鑑賞後、この作品を面白いと思って大丈夫なのかと不安になりました。このような、鑑賞者の倫理観や価値観を問うメタ的な構図を作ることが監督の狙いであったのではないかと思いました。