はべ

ミッドサマーのはべのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.3
いまさらながら見ました。
賛否両論あるようですが、僕から見れば尋常じゃない美的センスとホラーへの愛があるトンデモナイ名作。

若者たちが地方を訪れ、その恐ろしい風習に巻き込まれる……言ってみれば「ホステル」もこの類だし、「エクスクロス」(笑)も典型的なこのタイプ。こんなテーマの作品は昔から良くあったが、それを高いレベルで仕上げた一流の作品。

この映画の特徴としては、陰惨としたストーリーに反して、その舞台である村の文化や世界観の描き方、細部まで行き届いた美術とセットがとにかく素晴らしいというところ。

白夜でずっと明るい画面が続くだけではなく、純白の衣装、ダンス、奏でられる素朴な音楽、花や建物などもカラフルな色使いで、こんなに明るく美しい、それでいて不穏な映画がかつてあっただろうか。

ストーリーは序盤から不穏な描写が続いていき、不幸へのフラグがバンバン立っていく。このあたりのテンポも良い。

シーンとして特に目を引いたのは、序盤の死の描写が本当にリアルですごいということ。いまどきCGで大抵のことはできるとはいえ、こんなに誤魔化しなく描くのには正直ビックリした。後半は普通の描き方になっているので、この序盤のふたりのシーンが見所なのは間違いない。

不幸のフラグは最終的にはエログロによって見事に昇華されていくわけだが、破滅に向かって転がり始めるところはキタキタキタ!と作り手の狙いに乗ってまんまとワクワクとカタルシスを感じた。

難点は、後半の死体の発見場所の描き方が急に雑になったと感じたのと、ペレが絵を描いていたのはなにかの伏線になっていたのか、よくわからなかった。

まあでも界隈で話題になっていたのは納得した。映画史に残る作品のひとつだと思う。
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