Yムラカミ

ミッドサマーのYムラカミのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.3
ディレクターズカット版を視聴。

冒頭はカメラのアングルをあまり変えずにロングテイクを行うことが多くて少し退屈に感じたが、自分たちにも危害が加わるようになる後半に行くにつれて切り替わりとテンポが良くなって面白くなる。

アメリカ人の密教やカルトというとアジア的なイメージがあったが、北欧のペイガニズムというあまり見ないカルト映像を撮れているのが面白い。

ダニーの持つ家族の死と初めて崖から飛び降りた際の死が対比になっている。
村では皆で悲しみを共有する事が彼女にとっての救いになる構図で、そこまで一連と繋がるカルト集団の設定作りと構成が見事だった。

例えば「人間は輪廻によって自ら新しい命を授ける」という考え方は少し納得できる部分もあり、最終的には帰る場所のない彼女自身もその考えを受け入れ入信したことがわかる。
外部から人間を招き人数を増やしたと考えると一体何人もの人たちが死んでいるのだろうかと考えたり、スパイのように外に出る人間はもっといるとも予想できるしカルトの仕組みとして面白い。

本当に怖いのは自分たちは間違ったことをやっていないと信じてる集団であり、不気味な習慣を笑顔で行う様子が怖さを増している。
最後の彼女の笑顔は失った家族を共に悲しむ仲間を手に入れたことへの喜びを表していると解釈した。
(ここでは村人全員が家族であるという認識のため)

映像的な美しさは多く部屋一面に描かれている宗教的な絵であったり、上から見た際の人の並び方だったり絵画としてもこだわりがあるようだ。

随所に不安を表現したエフェクトが挿入されており、反対向きの映像や画面の揺れや歪みなどが垣間見え、それに対してドラッグまがいの飲み物などもその表現が不自然でないように作られている。
Yムラカミ

Yムラカミ