あでゆ

ミッドサマーのあでゆのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

監督舞台挨拶付き先行上映にて視聴。
ストーリーラインは『ヘレディタリー』とほぼ変わらないが、撮り方や主人公の受け入れ方によってホラーというジャンルから愛の話にも変わりうるという、酷く独特な姿勢を持った映画であった。
家族の死、空白、死の価値観を改めるコミュニティとの接触、そして王(女王)の地位を"継承"していく流れは、恐ろしいほどに前作と同じなのだ。
まさに『ヘレディタリー』へのアンサー、変奏曲だ。

しかし本作はホラー映画ではない。主人公のダニーがそのコミュニティを受け入れ、クリスチャンを殺し、近代文明の現実から文字通り"改宗"をすることで、彼女にとっては非常にハッピーな物語に仕上がっている。

「ミッドサマー」を冠するタイトルなのに、真冬の夜から始まるオープニングシークエンスは圧巻。彼女にとっての現実は真冬の夜であり、ここで起こることはまさにどんな人間にとっても最悪な出来事で、どんなホラー映画よりも恐ろしい。
ダニーの叫び声が劇伴と共にマッシュアップされ、最高潮に達してから昼間に切り替わるシーンは映画史に残るレベルの最恐オープニングといえるだろう。

オープニングとラストは円環構造にもなっており、ラストでは最も家族に近かったクリスチャンが炎によって(オープニングではガスだった)死んでゆくのだが、その時の悲しみを共有する仲間は周りに沢山いるのだ。これによって、彼女は本当の居場所を見つけたことになりました。ちゃんちゃん。

とにかく『ヘレディタリー』と似たような見せ方も多いのだが、あのデブの裸が前作だとめちゃくちゃ怖かったのに、今作だと奇妙で笑えてきてしまうのとかは最高だった。
あとクリスチャンがすごい自分の場所わからなくて気まずそうにしてる感じもかわいい。
そういう間の抜けたテンションでコメディとして見られるところもあるので、今作のジャンル分けはとても難しい。

しかし、いくら時間の流れが止まったような村であることにしても、2時間半は少々長すぎるとしか思えない。
ルック的な場面もほとんど変わらないため、中盤はかなりだれてしまうところがある。
それにやはりホラーを期待していた自分にとっては、やや拍子抜けしてしまった感が隠せない。
まぁあんな最悪な村があったとしたら、私たちには昼間にすら逃げ場がなくなってしまうことになるが、これに関しては奥地にあることが救いだな。

そういえば一個、最後Iの字に並んで食事してた時にみんな食ってるように見せかけて食ってなかったのはなんだったんだろうか。
あでゆ

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