Kuuta

ミッドサマーのKuutaのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.1
アリアスター同じ映画しか撮れない疑惑

ヘレディタリー同様に細部への妄執がエライことになっており、もう一度見るつもりで早々に考える事を放棄。昨日から考察動画とかフローレンスピューがただ飯を食う動画とか見てます。祭りだ祭り。

タイトルカットで今年のベストオープニングに決定。ベルイマンのレビュー上げる度に書いているが、スウェーデンとかいう地獄への偏見が止まらない。「これからベルイマンの本丸に乗り込むぜ!」って監督の鼻息が聴こえてくる(撮影はハンガリーだそう)。

テクニカラーの旧作を観ているような色彩。病んだ心が白日の下に晒されていく。会場に着いた瞬間から阿鼻叫喚へのワクワクが止まらない。踊る女の子たちの脇で、直立不動で何かが見てる。

世界を冷たく観察するのではなく、共感とともに主体的に捉え直し、肯定するプロセス。ネット経由の孤独と、眼前で感情を共有する重要性という視点には現代的な意味合いも読み取れる。原始宗教に逆襲されるクリスチャン。黒人の手柄を横取りする白人。

儀式に逆らうと酷い目に遭うのは明らかで、私も怖いので、儀式に乗っかる方に肩入れして観ていた。ピューちゃん行け行けと。ハンマー行った時のリアクション少な目な引いた顔が好き。肉詰めパイ作る所の長めの間の置き方、絶対人肉やんという絶望感。くるくるダンスのドライブ感が個人的ベストシーン。歌声ハスキーで意表を突かれた。

本来聞こえるべき生活音が排除されているのがキモい。映画で牛を出したら普通もっと鳴き声入れるだろ。

知らない風習に囲まれ、空気を読んで溶け込む。葬式でお焼香上げる列に入った感じ?飛び降りシーンでも、冷静さを保たなきゃと感じてしまった。

クリスチャンどこかで観た事あると思ったら、シングストリートの兄貴だった。火がつかない2人のケーキ。種を撒く行為のカットバック。一人になる恐怖と戦ってきた主人公の対比として、車に置いていかれ、沈黙を強要される(ラストシーンからBGM抜いた動画がyoutubeに上がっているが…圧巻)。

個人的にはヘレディタリーより今作の方が好みだった。原始宗教と呪われた村ってだけで楽しいし、徹頭徹尾ただお祭りをやっていただけなのが良い。クマちゃん解剖を子供に指導する日常感!グロシーンもそんなにないし、退屈する人も多いかもしれないが、私は延々とやって欲しかった。

映画としての完成度で言えばヘレディタリーに軍配が上がるのも事実ではある。
箱庭的な息の詰まる絶望感が減少。ロケーションが家から原っぱになったのもあるし、逃げ場のない状況が「殺されたっぽい」という描写でしか示されないのも大きい。
ヘレディタリーの長男には、マトモさを諦めた瞬間ネクストワールドにすっ飛ぶ快感があったが、今作は主人公が最初から病んでる&ドラッグなので、何でもあり感は強かった。もちろん彼女も、後半の表情の変化は素晴らしかったが。

町山さん解説付きの先行上映だった。それによると、家族に不幸があった時のアリアスターの感情=ヘレディタリー、その気持ちを理解してくれないのに、付き合い続けていた恋人へのモヤモヤ=ミッドサマーという構図のようだ。なので彼の個人史的には、ほんのちょっとだけ前に進んだ続編なのかな。

演出やストーリーがほぼヘレディタリーの踏襲なのは否めないと思う(現実の重たい青と邪悪な浄化の赤、天地逆転カメラなど)。次もここまで同じだとちょっと首を傾げてしまうかも。3作目により注目したい。83点。