durametto

ミッドサマーのduramettoのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.1
いったい何の映画を見たんだ…という気持ちだったけど、劇中によく出てくる「薬」に注目したらストンと理解できた。

この村の人たちには「自分」というものがなく、ひとつの生き物のように同じように悲しみ、叫び、よろこぶ。それを助けるのがハーブで、幻覚を見せ自分と他者の境目をあいまいにしていく。終盤のセックスシーンでもお香を嗅がせていたように、優先するのは行為と同調であり、個人の感情を徹底的に排除している。

一方アメリカから来た主人公たちは、自分を正常に保つために、抗うつ剤や、睡眠薬を飲み、他人を頼る。人と違うことが正しく、村に来た理由も全員違うし、論文テーマが被ることを恨むほど自分を大事にする。その生き方の犠牲者が、オープニングの1人で生きれなくなった妹のように見える。

対象的に2つの世界を描くことで、日常だと思ってるものこそが狂ってるように見えるというのは、平凡な見方なのかな…。
durametto

durametto