Yoshishun

ミッドサマーのYoshishunのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

『ヘレディタリー 継承』の名場面といえば、中盤の痛ましい死亡事故だと思います。敢えて、その「瞬間」を直接見せないことに加え、加害者側であった息子の絶望的な表情のみで映画史に残るトラウマシーンを誕生させました。

ところが、長編第2作目となる本作では、あの事故のトラウマシーンとは別の形ながら、それに匹敵する衝撃を突きつけてきます。

それが中盤の投身自殺です。

遠くからのアングルでもきついのに、監督はよっぽどのどSなのか、自殺時の顔面崩壊まで見せつけてきます。さらには小槌で潰す場面までもじっくりと確実に。


『ヘレディタリー』で全世界の映画ファンを虜にした鬼才アリ・アスター監督長編第2作は、スウェーデンにて90年に1度行われる夏至祭を訪れた大学生グループの悲劇を描く。主演は『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』でノミネートされたフローレンス・ピュー。配給は低予算ながらも上質な作品を製作し続ける名スタジオA24。

本作は言ってしまえば、白昼夢のヘレディタリー。地獄に遭うのは家族から、大学の友人に変化しているだけです。しかし家庭崩壊とはまた違った形で、人間関係の崩壊を描ききったところは良かったと思います。

また本作は、前作のラストに少しだけ描かれた儀式という部分を、中盤からずっと描いたような内容です。個人的には、前作のその唐突な設定に頭を悩ませたんですが、本作は最初からそれについて明言しているので、話の繋がりにも違和感なく楽しめました。

劇中に多く登場するルーン文字、揺れる草木の数々、夏至祭の開催時期の矛盾、クリスチャンという名前の由来、コニーの死因、ラストのダニーの笑顔など考察を楽しむにも丁度良いです。

先日から、ダニーとクリスチャンの口論や夜の儀式の場面が追加されたディレクターズ・カット版も公開され話題になっていますが、監督自身ベストと語る通常版も捨てたもんじゃないです。できれば見比べてみると作品の印象が変わるかもしれませんね。
Yoshishun

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