乙郎さん

ミッドサマーの乙郎さんのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.0
アリ・アスターは極めて倫理的な作家だと実感。『ヘレディタリー』よりは面白いが、ホラー映画であることがこの映画を平凡なものに留めている。
この映画の面白さというものは、ホルガ村という世界観を作り込んだところにある。だから映画を観るということが一種のアトラクションとして作用する、その効果は大きい。
ただし、演出が完全にフローレンス・ピューの心理に拠っており、かつ(監督自身はホラー映画ではないと言っているが)、すべてではないものの不穏なBGMの使い方など、少なくとも表面はホラー映画のマナーに則っている。この素材であれば怖くではなく気持ち悪く撮るべきなんだよなー。確かに気持ち悪さを出しているところもあるけど、何なら10割気持ち悪いでもいいくらい。ただその場合、ホルガ村の思想に当てられた観客を生み出す可能性があるのは事実なので、ここはある種アリ・アスターの倫理が出たのだろう(ホラー映画の倫理性と言い換えてもいい)。アリ・アスターの特性は通俗的な文芸映画(これは語義矛盾に見えて重複表現だ)なのだが。
いずれにせよ、結果的にこの心理的演出とホラー映画マナーが上映時間を150分に引き伸ばしているため、由々しき問題だ。今回レベルの世界観の作り込みがなければ、次作以降スルーするだろう。