三四子

ミッドサマーの三四子のレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.0
普通に面白かった。

話の肝であり、ダニがどうしてあのようになったのか、村に適応してしまったかに必要なことであるのはわかるけどひたすらに空気の悪さに耐えられず。
恋人との関係があまり良くない方向性になってることに病んでるし電話の向こうで彼氏の友達は彼女をボロクソ言ってるし、って辺りでもう辛かった。
一緒に旅行に行く相談をするためにクリスチャンの家に行くところは本当に映画館を抜け出したいくらい空気が悪かった。
男友達同士の研究兼卒業旅行に彼女(しかもあまりよく思われていない)を連れて行くって何?誘いたくないけどこういう状況だから連れて行きたいクリスチャン、ヤケになってついてきちゃったダニ、断りたいけど断れないので干渉を避けてしまう友人一同。気まずすぎる。
薬やるかやらないかのときのこれだから女はっていう雰囲気とかちょくちょく入る水を差されました感、ほんとに辛い。

あと付き合ってどのくらいなの?という話の流れで「今年で4年だけど?」ってダニが怒るところもほぼ初対面のカップルの前でそんな身内の喧嘩見せる?やばすぎ…って感じ…


いま感想書いてて気づいたけれど、ダニがクリスチャンの旅行の件を知らなかったのってペレが隠させてたのかな?
当たり前だけどホルガ村がやってることは殺人だし数年に一度くらいでひとどこからか連れてきて殺してるんだから足がつかないように気をつけてるだろうし、やたらと人に言わないようには言ってただろうな。



精神的な苦痛が大きすぎて直接的なグロシーンはそこまでダメージはなかった、かも。
予想できるものが多かったせいもあるのかな?
崖から落とされた老人2人はまったく椅子から降りなかった辺りで落ちるか落とされて死にそう〜の予想が当たったり。

わたしはここのシーンで司会者?のおばさんが説明してなかったの!?っていうシーンがとても好き。
村の集団では常識でも外から見たら非常識であることがわかる動き。
そういう部分も含めて歓迎する気が本当にあるんだな、ということと村に適応する(選抜を生き残る)ならそれはそれでいいというのを感じた。
さっきの殺人であることを理解してるんだろうなというのも含めて外では犯罪で隠さなきゃいけないけど村ではこういうルールだからといって犯罪を隠蔽したりしてるの、カルト宗教の内部の無理やりな倫理観のすり合わせを感じて好き。


映画見ている時はペレいいやつだな、とかダニが好きなのかなとかぼんやり思ってたけど見終わってから共感、同情してたのか〜という気づき。
いろんな考察をみたけどわたしはペレの両親もダニたちみたいに村に招かれて焼かれて死んで、ペレは子供1人残されてそのまま村に入った派。
この村の雰囲気的に孤児になる子供はたくさんいそうだしそれをわざわざ言うあたり村の外の人間だったのかな?
わたしはダンスバトルに勝ったダニにキスして一緒に歩くところでちょっとキャッキャッはしゃいだからそれはそれとして好意を抱いていて欲しいよ。 

でもタペストリーを見ると好きになっちゃったからつい陰毛入りパイを作った!って感じだったのにあっさり死ぬのを見送るし別に好きなわけではなかったのか、それとも宗教に頭から染まってるからこれが正しいと思い苦じゃないのかわからなかった村の女の子もいるし、この村の人間に性愛を含む好意を抱くひといるのかな。

村の外の価値観であるわたしにはわからない好意なんだろうか。



一番好きなシーンはやっぱり最後の木の家を燃やすところ。
進んで生贄になり死を選ぶ敬虔な信者でも痛くて苦しいのがいい。
イチイの木の煎じものを飲まされる時に「これを飲むと痛みも恐怖も感じなくなる」みたいなこと言われてたけどウルフとイングマールは信じてたんだろうか?
このシーンのおかげでダニとクリスチャンの流れもありもしかしたら本当は正しいのか?と思い始めた心を一気に所詮はまやかしというところに戻してくれたと思う。
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