kaito

ミッドサマーのkaitoのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.3
Twitterで非常に話題となった本作。公開日に観たにもかかわらず、今日まで引き延ばしてしまったのは とくせい なまけ のため。

『ミッドサマー』*映画の内容に触れています

はい、アリ・アスターの最新作品。彼の『ヘレディタリー/継承』は好きなホラー映画で5本の指に入るほどに好きである。そういうわけで、期待値も必然的に高まるわけ。良かった点から記していく。
 カメラワークやカットは良かったように感じる。主人公含む大学生一味がスウェーデン奥地にある祝祭に向かう道のカット。道を進むカメラが徐々に上下逆さまになっていくシーンはカットで不穏な雰囲気を作り出していた。セットやデザインもかなり好きだった。二時間半近くあった映画ではあったが、画面が常に神秘的で奇麗だから映画自体に飽きることはなかった。好きな点・良かった点は以上。
 個人的に感じた悪い点は、まず登場人物に興味が湧かなかった。表面的にしか感じられなかったためもう少し人間味であったり、興味深く感じさせる点が必要であったように感じる。狂気さを感じられないという点でも、好きではなかった。この映画の見どころは、崖から落ちるシーンでもなく、S〇Xシーンでもなく、ラストカットにあると思う。ダニーの心情がいかに変化していき、狂気的になっていくか。そういった意図で、ラストカットに彼女が顔に浮かべる笑み。そこにすべてが詰まっているような気がする。しかしその肝心なシーンから狂気さが感じられないのだ。その点で『悪魔のいけにえ』はいい例になる。レザーフェイスから逃れ、車の荷台から笑い狂うシーンはまさに狂気という言葉が当てはまる。恐怖心とその恐怖から逃れた喜びの複雑な心境を見事に表現しており、鳥肌が立つほど怖かった。(また詳しくレビューする。) 視覚的には美しいが、一周回ってこわさがあったかと言われれば、一概にそうとは言えない。またほかの映画を例に出すが、アレックス・ガーランドの『アナイアレーション』は視覚的にきれいで、終始不気味であった。
 批判が多くなってしまったが、脚本は好きだった。その脚本に演技だったりが追いついていないような気が。考察したいことも多いので、また観たら評価は変わりそうかな。
kaito

kaito