一年に一本はこういう能動的に画面の隅々や演者の仕草、表情を見て、深読みする映画というのも必要である。
「今日はミッドサマーを見るぜ!」と前の日からコンディションを整えて臨んだので特別ストレスなく観れた。
こういう映画は換骨奪胎して、シンプルなテーマを各々掘り出せればいいのかなぁ、と思う。
僕の場合は「辛いとき一緒に泣き叫んで共感してくれる相手がいるといいね」というさも温かなヒューマンドラマを観たかのような感想で終わった。
いや、たしかに村でのあれやこれやは凄惨だったけど、自分の両親と無理心中した妹の死に様の方がグロいし、ダニーの最初の慟哭のなんとまぁリアルで迫力のあること。アリアスターは女優からこの手の叫びを引き出すのが上手いね。
いったい何があってあんなことになったのか、そっちのが想像していて感情をかき乱される。
村でのそれはあくまで伝統とか習慣とかの話だから、僕らからしたらイレギュラーなことだけど、村人にしたらノーマルなことなのよね。こういうことを長い歴史の中で繰り返してきたわけだから。
でも妹が両親巻き混んで無理心中して姉だけ天涯孤独の身に追いやるって、これは僕らの世界にしてもノーマルなことじゃない。どこのコミューンにおいてもイレギュラーなことだ。
野蛮な風習にはしかし、順番というものがあるが、僕らの世界で日夜起こってることは順番もくそもなく、秩序もない。いつ身にふりかかるかわからない。
あの村の住人には絶対なりたくないし、幸せそうとも思えないが、だからといって僕らの世界が相対的に良いかっていうと……どうなんやろうね。
関係ないけど論文問題で死んだジョシュは多分死後の世界で「良いところ」に行ってクリスティンベル似の美人とよろしくやれるんだからいいのではないでしょうか(他作品と混同)
海ドラでブレイクした俳優が映画に出ると大抵似通ったイメージの役柄与えられるよね。でもタブーを犯すのは倫理的によくないよ、チディ。