人間は自分とは違うものを恐れる
この作品は、現代社会ではおおよそ考えられないような宗教的価値観がとてつもない恐怖を生み出している
雄大な風景と伝統的な衣装、美しい花々などの自然あふれる村は、白みがかった夢幻的な美しい映像で描かれる
しかし、その美しさは同時に人間の内なる恐怖を際立たせる
村の歪で奇妙な風習、幻覚のような光景を見ていくにつれて、観る側は味わったことのない感覚に脳をかき乱され常識とは何かを疑問に思わせられてしまう
認識外の価値観を理解し、染まる
それが過去の概念や自分からの解放となるかのように主人公は終盤、この村の価値観に染まっていく
そして、それは家族の死からの解放につながった
観る側もラストに近づくにつれ、謎の安心感を得るようになり、最後は何故か浄化されていく様な感覚を味わっていく
人が理解出来ないほどの澄んだ狂気、突き抜けた悪夢は、ある種の"再生"につながるものなのかもしれない
観賞しながら、危ない映画だなぁと思いつつ、完璧な構図が生む美しさとこの狂気の沙汰から目が離せなかったです😅
