ケイスケ

ミッドサマーのケイスケのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.9
風邪ひいた時に見る夢みたいな映画。

アリ・アスター「この映画は恋愛映画だよ。カップルで来てね!」この男はサイコパスか何か?恋愛映画ではあるんですが、どちらかと言うと終わりかけカップルの話ですね。

思いがけない事故で家族を亡くした大学生のダニーは、人里離れた土地で90年に1度行われる祝祭に参加するため、恋人や友人ら5人でスウェーデンに行く。太陽が沈まない村では色とりどりの花が咲き誇り、明るく歌い踊る村人たちはとても親切でまるで楽園のように見えたが…。

監督の前作『ヘレディタリー/継承』は映画館を出て、家に帰る途中も具合悪くなるくらい怖かった。本作はヘレディタリーとは変わって全編明るいからホラーが苦手でも安心!…ってなるか!また具合悪くなったわアリ・アスターこら!😡

自分のように「はぇ~すっごいこわい😲」と半分くらい思考が動いてない人間のために公式サイトに『完全解析ページ』なるものがあり、ぶっちゃけ本編を見たあとはこれでシーンごとの意味や理解度を把握することができます。「これを踏まえてもう一度鑑賞」じゃねーよこら。既に一回で具合悪くなってんのよ(いい意味で)

まずホルガ村に行く前の時点で主人公ダニーを演じたフローレンス・ピューの演技がすでに怖い。叫びと嗚咽が混じったような過呼吸気味の泣き方が心にクルんですよ。そんなダニーは恋人クリスチャンとの関係が上手くいっていない様子。彼女は何かに依存しないと生きていけないタイプなんですよね。しかしクリスチャンからは距離を置かれているため心身は更に不安定に。

そんな依存症のダニーが新たに見つけた拠り所がホルガ村と考えると、ラストの彼女の笑顔も納得かと。なんだハッピーエンドかと思うじゃないですか。でもここに行くまでまあ狂ってること。まず冒頭のイラストで話のあらすじは大体わかるような構成になってるんですね。大胆な伏線の提示だな。

特に好きなのは終盤のセックス儀式。ここ私は勝手に“クレイジーハイパーセックス”って名付けたんですけど(意味不明)この村の人々って感情を共有する所があり、それは悲しみや苦しみだけでなく快楽も例外ではありません。ここはもう実際見て何とも言えない感情になってください。ちなみに少しもエロくないからな!

この映画は監督のアリ・アスターとどこまで思いを共有出来るかで好き嫌いがハッキリ分かれますよね。これだけ考察のしがいがある映画も最近は珍しい。これは個人的な意見ですが、ペレは旅行準備の時点で計画を仕組んでますよね。これペレ目線で観ると結構面白いんですよ。こんなに語りがいのある映画のレビューの締めがペレでいいのか笑。