おなべ

ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~のおなべのレビュー・感想・評価

3.8
◉「まだちゃんと話し合ってないじゃないか」
          ──マルコ・ボット。

◉1971年 ノースカロライナ州のダーラム。白人至上主義団体KKK(秘密結社)の支部長、公民権運動家、全米国人地位向上協会のNAACP、黒人連帯委員会、白人市民会議、リベラル派ctc…様々な主義、信仰、宗教を持つ人々が集まり、数回に渡って人種統合に関する議論を重ね、最終的な合意案を投票で決議するシャレット(討論会)が行われた。

◉著者《O.G.デイヴィッドソン》の原作『The Best of Enemies: Race and Redemption in the New South』を基にして作られた実話に基づく物語。

◉物語のオチは大体予想出来つつも、涙なしには観られない胸が熱くなる作品。物語とは言っても実話に基づいており、人種差別が激化しヘイトが犇めき合うこの世界において一縷の望みに成り得る稀有な事例である。

◉主演を務めた《サム・ロックウェル》と《タラジ・P・ヘンソン》の熱演が光る。両者共に役に成りきり、発される言葉の一つ一つが力強く、また、その演技から醸し出される葛藤や性格が溢れ出ていた。

















【以下ネタバレ含む】
















◉「その後は?」C.Pの奥さんが放った一言が突き刺さった。そう、仮にこの問題を対話ではなく合理的に解決したところで現状は何も変わらない。また人種差別や抗議デモが繰り返されるだけで何の解決にもならない。その確信をついた一言が本質だと思う。「その後」の事を考えないと、今尚続く差別の歴史は未来永劫、永遠に無くならない。
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