アキラナウェイ

ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

4.2
サムロク兄さん好きな人〜!!
はい、集合〜!!
またまた兄さんがやってくれたよ。
良い演技するんだわ。

子供達が通う学校が、白だ黒だと肌の色で分けられていた時代のお話。

1971年、ノースカロライナ州ダーナム。黒人児童が通う小学校が火事になり、白人児童の学校に彼らを迎え入れるかどうかの協議をきっかけに、白人学校と黒人学校の統合をめぐる討論会"シャレット"が開催される。

その共同議長に選抜されたのは、犬猿の仲の2人。

白人至上主義団体KKKの幹部であるC・P・エリス(サム・ロックウェル)と、黒人女性の公民権運動家アン・アトウォーカー(タラジ・P・ヘンソン)である。

人種差別意識もろ出しで、とびっきりのイヤミを相手に浴びせて嘲笑うC・P。

負けじと恐ろしい剣幕で口を尖らせて捲し立てるスーパーおばさんのアン。

2人の舌戦が凄まじいッ!!
そして、
2人の役者の熱量が素晴らしいッ!!

反目し合う2人だが、シャレットでは建設的な意見を発言し合う事を目的とし、ランチも嫌々ながら2人同席で食べなきゃいけない。

人種統合を行う事で、それまで分離されていたそれぞれの児童達にどの様な影響が出るのか。白人であれ、黒人であれ、子を思う親心は同じ。

しかし、ある黒人男性ははっきりと言う。

黒人と白人は同じではない。
黒人の親は、全く違う種類の痛みを心配している。

愛すべき我が子は、
理由なく唾を吐かれ、
殴られない様に白人に道を譲り、
好きな所に座れず、遊ぶ場所も学校も選べない。

…ひたすら唸らされた。

C・Pが障がいを持った息子を抱えているという彼なりの悩みや葛藤が物語に深みを与える。

少しずつ解(ほど)けていく頑なな2つの心。
サム・ロックウェルがやっぱり上手い。

人種統合の是非を巡る、最終投票を描く終盤の展開は目が離せない。投票権を持つ代表者達に、裏で圧力をかけるKKK。

ある者は報復を恐れ、統合に反対票を入れ、またある者は圧力に屈する事なく、賛成票を入れる。

気になる投票の行方と、感動のラストは是非ご自身の目で。

ウソみたいだろ。
実話なんだぜ。

全米の週末興行収入ランキングは初登場7位という結果。日本では劇場未公開。もっと評価されるに相応しい作品だと思うのになぁ。