つるみん

ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~のつるみんのレビュー・感想・評価

3.8
1971年米公民権運動を背景に、何事にも口を出すお節介な黒人活動家と黒人の彼氏がいる女性の家までも襲撃するKKK支部長による学校の人種統合についての討論会が描かれた実話。

思っていたよりもアップテンポの作品で、その作風に合わせるためにKKKの愚行もかなり控えめに描かれていたのも事実。本来ならばもっと差別や偏見が酷かったのだろう…。
しかしそう考えると、この映画はまさに奇跡のような実話であって、この時代の人種間において相反する2人が手を組むというのは異例中の異例。だからこそ映画化になるのも納得はいく。トップの2人だからこそ、動かせたものであって、やはりそれなりに権力があるものというのは責任が伴うということであろう。

黒人活動家を演じたのは『ドリーム』のタラジ・P・ヘンソン。一度発言したら絶対に曲げないという信念の強い女性を演じ、それはたとえ敵を(原題でEnemieを使っていたので)助ける行為であっても、お節介だと一言言うだけで、人間がすべき行為を行う誠実で真っ直ぐな役を演じきった。

一方、KKK支部長を演じたのはサム・ロックウェル。やっぱり彼は良い。〝サム・ロックウェルがサム・ロックウェルをする〟という造語は、脇役なのに主役級の活躍を後半で見せ、一番印象に残る演技をする事。だと勝手に思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。鼻から主役でも、彼はサム・ロックウェルしていた。完璧だった。格好良すぎるんですわ。


という訳で、一見重い映画になりがちな題材を扱っているが、基本的には見やすい部類。これが劇場未公開なのは、まだ分かるがなぜ配信のみなのか…。ディスクあって良いと思うけどな。
つるみん

つるみん