映画用に盛った話だとは分かっているし、宝くじに当たる以上に稀な美談だと言うことも分かっているのだが、ストーリーや演出の良さ、そしてサムの名演で感動してしまう作品。
実際には偶然が重なり奇跡の物語となったのだが、特にKKKのP・C・エリスの性格や生い立ちが奇跡を呼んだといっていいだろう。
主義主張があってのレイシストではなく、自分を認めてくれる組織を求めてその中にいるためにレイシストになったので、違う場所に同じ物があれば容易にイデオロギーを変えられたのだろう。
普通は根底に恨みや憎しみがあるので、こんなに簡単に主義を変える事はない。
世界中で差別を無くそうと願う人がいて、運動があり、実際良くなっているのだろうが、一つ差別が無くなれば、また新しい差別が生まれ、結局無くなる事は無いのかも知れない。
差別は自分と異質な物を排除しようとする力が大きい。丸を一つ描いて見ればすぐ分かる。その中に自分がいて、その外は異質な物だ。例え他の丸と繋がり一つになれてもやはり丸の外は存在する。
などと悲観的に考えてもしょうがないので、せめて今作を2度と起こる事のないぐらいの奇跡と思い、素直に感動して観るのが正解だろう。