サラフィアー

ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~のサラフィアーのレビュー・感想・評価

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サムロックウェル祭。

探しまくったけどこれはそもそも円盤化されてないんですね…良い作品なのにもったいない。
サム・ロックウェルとタラジ・P・ヘンソンの演技力がバシバシ。

敵同士で、もはや対面して落ち着いて話などするはずのない南部のKKK支部長と黒人解放運動の活動家が2週間、真剣に対峙することで起こり得なかったはずのことが起こるという。事実だとは思えないくらいものすごいドラマ。

KKKって入団する時点で、黒人やユダヤ人に対してものすごい憎しみがあるんだとばかり思ってたけど、なんならそれ相応の憎しみや怒りがないと入団できないくらいあるかと思ってたけど、エリスの例はそれよりも、団体に所属することへの安心感とか結束力みたいな所属意識に価値を見出してのことやったんやなと初めて思わされた。もちろん入団することで、憎しみは刷り込まれていくんだけど。でもその入り口も人によってそれぞれなんやなと。涙を流してまで得た自分の居場所と地位を全て投げ出して、もはやその組織を敵に回すことはめちゃくちゃ勇気が入ったやろうけども、それでも気づくことができた正しさを土壇場で貫いたエリスはすごい。だがしかし、少しでも黒人に寄り添うような素振りでも見せようなら、相手が白人だろうが、女だろうが、すぐに敵とみなして卑怯な真似をするKKKは本当にクズすぎて…終盤はエリスが撃たれたりしないか冷や冷やしてた。エリスに関して言えば、エンドロールでエリスご本人が語ってたように、これまでやってきたことへの報いを受けることにはなったんかもしれぬけど…

アンの強さと優しさには恐れ入った。不平等と戦うためにはあのくらいの強さは必要だし、でもだからと言って鬼ではなく、最大の敵であるエリスにも同情できるという優しさ。彼女という存在がなければ、エリスが変わることは決してできんかったやろうな…

エンドロールのおじいちゃん、おばあちゃんになった実際の2人の映像が仲睦まじくて、ちょっと泣いた。
特にエリスが失ったものは多い(この件で失ったものは失うべきものだとは思う)けど、これだけ年月が経ってもブレない固い友情が得られたのは良かったなあ…

KKKの胸糞悪い人種差別主義者から絶妙な変化を遂げていく演技がまたうまい!サムロックウェル素晴らしい。