Emma

君の誕生日のEmmaのレビュー・感想・評価

君の誕生日(2018年製作の映画)
5.0
泣き過ぎて過呼吸になりかけた…
劇場で見なくて良かったです。
大変なことになっていたかと。

セウォル号の悲劇は日本にいる私の耳にも届くほど当時、衝撃的なニュースでした。
今や世界で大人気のBTSがセウォル号で亡くなられた子達に向けて書いた曲があると聞いて、改めてこの事故に思いを馳せるようになっていた時に、こちらの作品を見る機会に巡り会いました。

事故で亡くなった生徒たちの遺族が、補助金のことなどで世間から批判されたり、悲しみの底に居る人たちに追い討ちをかける様なことが起きていたと初めて知りました。

この作品の凄さは説明せずとも真実を優しく詳らかにしていくところ。帰国した旦那さんに冷たい奥さんだなあ、なんて思っていたけれど実はお母さんの悲しみは果てしなく深くて、声をあげて泣く中盤のあのシーンではじめて、観客も母の悲しみの底深さに触れることになります。

人の悲しみや苦悩は側からは決して分からない、わかった気になってはいけないというメッセージだと、個人的にはそう思いました。

誕生日会の中で人の記憶の中から初めて知る我が子の姿があったり、悲しみも恋しさも共有する人たちの数が多いほど、その傷と共に前に進む力になる、そんな人のレジリエンスを感じる作品でした。

父親役の俳優さんの物言わぬ哀愁が素晴らしかったです。悲しみをたたえるって表現がありますが、まさにそのような目をしたお芝居でした。
Emma

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