過去鑑賞。
タイトルからは単なる復讐劇を連想させるし、確かに復讐するにはするけど…本筋の意味合いがちょっと違うのだ。
『A Bruebird in my Heart』(我が心の青い鳥)ってのはアメリカ題なのかな?
原題は『Tu ne tueras point』汝(なんじ)殺すなかれ
本作の肝となるのが元受刑者ダニー(ローランドムーラー)の無口で無骨な雰囲気。
ダニーの過去は語られないが、仮出所中に滞在するモーテルの女主人と娘クララとの交流を通して、彼の人柄が滲み出る。
与えられた仕事が皿洗いだろうとダニーは至極真面目であり、真っ当に生きたいと思っている人間なのだと思う。
クララは刑務所の父親と会えないことや思春期の悶々とした悩みや寂しさを、父親の存在のように重ねたダニーに委ねる。
そんなある時、マリファナの売人にレイプされたクララを助けたダニーは、まるで張り詰めた系が切れたように歯止めのきかない暴力へ身を投じてゆく…
汝(なんじ)殺すなかれ
あゝ〜…こういうことか。いい人ゆえに、人を思うゆえに、見過ごせないゆえに、自分の幸せを何の躊躇もなく手放してしまう。
このローランドムーニーの役どころにハマるかハマらないかで評価が分かれそうだが、私は好みの作品だったので隠れた傑作の部類に入るかと思います。
ローランドムーニーはデンマークの俳優さんですが、ハリウッド作品にもちょいちょい悪役などで出演してますね。レオンのジャンレノを彷彿させる雰囲気でカッコ良かったです。