MasaichiYaguchi

幸福路のチーのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

幸福路のチー(2017年製作の映画)
4.3
台湾郊外に実在する「幸福路」を舞台に、思慕した祖母の死を切っ掛けに帰郷したヒロインのチーが、少女時代を回想しながら自らを見詰め直していく本作を鑑賞した多くの人が、故郷の両親の声を聞きたくなったり、帰省したくなるのではないかと思う。
国や民族、言葉や文化、年代や性別の違いもあるのに、繊細なパステルカラーで、時にファンタジックに描かれるアニメーションに何故これ程までに心揺さぶられるのだろう。
ヒロインのチーや彼女の家族は偉人でも特殊な人でもない、どちらかと言えば日本の何処にでも居そうな人々だ。
特に本作で半分近くを占める少女時代は「ちびまる子ちゃん」を彷彿させ、更に日本の人気アニメソングやキャラクターが出てきたりして、観ていて思わず嬉しくなってしまった。
この作品ではチーが少女から大人の女性になっていくのを、台湾の激動の現代史と共に綴られるのだが、このくだりに関しては団塊の世代が自らの青春と重ねてしまうような気がする。
私もそうだったが、若い頃は生まれ故郷が垢抜けないと感じたり、あれこれ干渉してくる親達が煩わしく思え、早く一人で洗練された都会に出たいと願ったりしたが、チーも同様に故郷を後にし、遂には外国へ雄飛する。
それでもいつか立ち止まって振り返る時が訪れる。
この映画は、立ち止まって人生を振り返り、これから歩む道を見定めるチーの姿を、切なさや優しさ、そしてノスタルジーと家族愛で彩りながら描いていて、その普遍的なドラマが心の深いところまで響いてきます。