あしたか

ミッション:8ミニッツのあしたかのレビュー・感想・評価

ミッション:8ミニッツ(2011年製作の映画)
4.4
[再鑑賞]


[あらすじ]
乗客全員が死亡した列車爆破事件。その犯人を捕らえるべく、政府の極秘任務として爆破前の被害者の"意識"に送り込まれたスティーブンス大尉。彼は<死の8分前>を何度も体験するうち、乗客のクリスティーナを救いたいと考え始めるが…(U-NEXTより)

<8分前>に戻って、列車爆破の原因を突き止めろ!新感覚ループサスペンス。

緊張感★★★★★
感動★★★★★


この作品の面白さは大きく2つあると思う。
1つは<ループサスペンス>として、もう1つは<主人公に関するドラマ>として。

ループサスペンス部分に関して。
何度も爆死を経験し、トライ&エラーを繰り返しながら徐々に真実に辿り着くまでの過程はかなりのサスペンス性を生んでいる。経験値を貯めて、知恵を身につけることで新たなステージに進めた時の感動と興奮は実に大きい。
この要素はまさに何度もゲームオーバーになりながらプレイするビデオゲームさながらだし、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』とも似ている。

主人公に関するドラマ部分に関して。
実は主人公は結構複雑な状況に置かれながら物語は始まる。
任務中だった筈なのにいつの間にか得体の知れない部屋に閉じ込められ、画面越しの人物からは意味不明な指示を出され、何度も<死の8分前>に飛ばされては爆死する…。
爆破事件の真相以前に自分の置かれた状況すらわからないという意味で、二重のサスペンス構造を持つ映画になっている。そのため序盤はちょっと混乱するかもしれないが、ここを耐えることができれば常に緊張感溢れる物語に没頭できる。
爆破事件だけでなく、こちらに関しても衝撃的な展開が待ち受けているので、実にお得感あふれる作品に仕上がっている。

主人公に関するドラマはそれだけではない。
キーパーソンになるのが列車の乗客のクリスティーナだ。初めは誰でもない赤の他人だが、何度も爆死する瞬間を目の当たりにすることで、主人公は彼女に情が湧き、彼女を助けようと考え始める。
そしてこれは観客も同じである。最初はどうでもよかった存在が不思議なことにどんどん愛おしく思えてくるマジック。ニクい仕掛けだ。
彼女を助けるために奮闘する主人公のことを応援したくなるというものであり、緊張感が増す。

その他、主人公とその父親のエピソードも良い。ネタバレになるので詳しくは書けないが、終盤のあるシーンはジェイク・ギレンホールの演技も相まって大変感動的だった。


待ち受けるあの美しさ極まるラストシーンにも要注目だ。これだけ完成度の高いサスペンスをやりながら、「あと1分の命だったら何をする?」 という問いを投げかけることで日常の尊さをも再認識させるという離れ業。伏線の回収も見事。感動するほかない。

90分というコンパクトな上映時間の中で、伏線をばら撒き、サスペンスをやり、思いがけない感動的なオチまで用意している。非常に完成度の高い作品だと言えると思う。
あしたか

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