ゆず

ミッション:8ミニッツのゆずのレビュー・感想・評価

ミッション:8ミニッツ(2011年製作の映画)
4.1
科学考証はハイパー量子力学って感じの胡散臭さだけど、8分間の時間制限付きのサスペンスフルな展開が何度も出てきて飽きさせず、謎もすごく謎謎していて惹きつける。映画館で観て面白かった記憶は、今も変わってなかった。とりあえず人に勧めてみたいSF映画。

「死者の脳には死の直前8分間の記憶が残っている」「その記憶を利用して列車爆破の起こる8分前の仮想現実を構築できる」
この二つの素晴らしくも眉唾なアイディアによって、「8分以内に時限爆弾を見つけ出せ」とか「8分以内に犯人を探し出せ」とか刺激的なミッションが生まれ、何度もLIVE, DIE, REPEATする。(←別の映画のコピー)
まあ、死人の脳に8分間の記憶が残っているなんて、「魂の重さは21グラム」くらいエセ科学なのだが(というか本作オリジナルなのかな)、割とそこへのツッコミは少ない気がする。たしかにそこ否定したら映画が始まらないのだが…。意外と50年後には社会通念として市民権を得てたりするかもしれない。魂21グラムがそうであったように。

一方、仮想現実の方は現実にVRというものが市販されてる2019年では割と突っ込まれやすい気がする。いくら記憶があるとはいえ、あんなに精細な仮想現実が作れるの?とか、仮想空間の広がりがありえなくない?とか私も思った。
ただ私たちは今のところ仮想現実(というか何かの映像)を「見ている」に過ぎない。「見る」のではなく、頭に直接流し込まれるパターンのVRこそ真の仮想現実だと思う。ゴーグル外せば見えなくなるのは仮想現実に「入り込んだ」とは言えない。
そしてたぶんこの映画に出てくる仮想現実は、もはやシミュレーションの域を超えて存在している。それこそハイパー量子力学とでも言うべきオーバーテクノロジーをしれっと見せつけてくる。
さらに主人公はシミュレーションの中にあって、それを逸脱した行動を取りまくる。仮想現実で起こる事に本来意味は無いはずなのだが、主人公は意味の無い行動に意味を見出していく。そんな所が、事件の謎よりもミッションの真相よりも、鑑賞者を惹きつける。
ゆず

ゆず