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命みじかし、恋せよ乙女のKUBOのレビュー・感想・評価

命みじかし、恋せよ乙女(2019年製作の映画)
3.2
夏映画一気見マラソン12本目は、樹木希林さんの遺作となった『命みじかし、恋せよ乙女』。

大林宣彦や黒沢清が撮ってもおかしくない題材だな。

アル中で離婚調停中(?)で娘にも合わせてもらえないドイツ人青年カール。家族とも疎遠で孤独なカールの前に突然現れた謎の日本人女性ユウ。奔放なユウに巻き込まれるようにカールの生活が変わっていくのだが…

邦題は劇中で何度も歌われる『命みじかし、恋せよ乙女』だが、英語タイトル『Cherry Blossoms and Demons』からならストレートに本作のテーマが伝わる。私は大好きなタイプのジャンルだからよかったけど、樹木希林と邦題だけで見に来た人は面喰らうかも。

この手の作品の場合、キーになる謎の女性が魅力的か否か、でおおかた決まってしまうのだが、そういう意味では申し訳ないがユウ役の入月絢さん、不可思議な雰囲気はあるがもうひとつ魅力に欠ける。蒼井優とかだったらだいぶ違ったかも。

死者と生者、あの世とこの世の境界線が曖昧になった世界は、日本文化の影響によるものだろう。日本のお盆なんかの影響も見られるし、この監督ドリス・デリエさん、日本のことをよく勉強してるなぁ。それに黒沢清、好きなんだろうな〜。

たぶん樹木希林が出ていなければ見なかったろうし、実際作品自体はそれほどの出来じゃない。ただ、これが最後となった樹木希林さんの演技は映画ファンとしては必見だし、このドリス・デリエという監督さんもフォローすべき。

終盤、樹木希林が登場する舞台となる茅ヶ崎館は小津安二郎が滞在した部屋だそうだ。

*日本では一般公開されていないのだが、ドリス・デリエ監督が3.11後の福島を舞台にした桃井かおりさんも出演している『フクシマ・モナムール』、素晴らしい作品なので、機会があればぜひご覧ください。