APlaceInTheSun

ペイン・アンド・グローリーのAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

4.3

音楽の作曲として、暗い歌詞に敢えて明るいメジャー系のコード進行を当てはめる事で、その絶妙な違和感から名曲が生まれるという手法がある。

この映画を見てそんな事を思い出した。
決して大きな事が起こらない地味めで暗いストーリー。
それに対して絵がとにかく美しい。
登場人物の衣装や、部屋の内装の色鮮やかさ。
部屋に飾られる絵画、小物、映画のポスターはそれぞれが単独でもアートとして素晴らしいものばかり。
それらが組み合わさって、1シーン1シーンが見るだけで幸せになるような画になっている。

アドモバル監督の、余裕というか風格も感じた。
序盤の幼少期の回想。母親と主婦友達と川で洗濯するシーンで、川魚が石鹸に寄ってくる場面があるが、後々に性の目覚め場面でも石鹸が使われる。
また、オープニングのプール潜水、劇中劇(朗読)で水を使った過去の名作映画
等、度々水を効果的にモチーフとして使ったり、ホント上手いよなぁ、というか。その映画的語り口はさすが。

あと必ず触れて置かなければならないのは、主演のアントニオバンデラス。ここへ来て新境地開拓か!と言うべき名演。
APlaceInTheSun

APlaceInTheSun