ぺんじん

ペイン・アンド・グローリーのぺんじんのレビュー・感想・評価

4.4
ようやく観れたぞ、ペドロ・アルモドバル監督作!最新作はアルモドバル版『8 1/2』だ!
物語はアントニオ・バンデラス演じる有名監督がプールの中で息を止めているシーンから始まる。背中には痛々しい手術痕。次第に彼の記憶は彼の幼少期、特に母親との過去の記憶の中に戻ってゆく…
体中のありあらゆる痛み、更に鬱気味で足取りも少し覚束ない白髪のアントニオ・バンデラスの姿がなんだか切ない。これはどう見てもペドロ・アルモドバル監督自身じゃないのか?
素晴らしい絵画が飾られた部屋に住んではいるものの独り。一方で記憶の中の故郷はどれも色とりどりで鮮やかで、主人公はどんどんと美しい記憶の中に逃げ込んでゆく。しかも昔犬猿の中だった俳優にヘロインを借りた事で更に現実逃避。ヤク中の道一直線だけど、大丈夫なのか。
どう見ても監督自身を描いているとしか思えない主人公は何だか悲哀に溢れてるけど、どこかテンポがズレていて、どこかコミカルになってしまうのは何だか笑っちゃう。突然CGのアニメーションが入ってきたり、自然に劇中劇の中に吸い込まれてゆくような演出は驚き!物語の中盤で来る展開には何も知らなかったから、結構驚いた!あぁ、こういう話だったのか!
物語の終盤で、過去と折り合いをつけ、少しずつ希望が見える方向に歩いて行こうとする主人公にジーンと来る…人生は捨てたもんじゃないよね…
色鮮やかな過去のシーンがとにかく美しく記憶に残る。最後も結構オシャレな終わり方が良かった!ペドロ・アルモドバル作品もっと観なくては!
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